『第11回なにわ乳がんを考える会』(2014.8.2)のご報告と感想 

投稿日:2018年1月14日 更新日:

 

日時 2014-08-02
場所 梅田スカイビルタワーウェスト36階

第11回なにわ乳がんを考える会 の報告と感想

教育講演 『乳がんの遺伝性を考える ~なぜアンジェリーナ・ジョリーさんは乳房切除したのか~』
教育講演 講師 田村 智英子 先生 認定遺伝カウンセラー(米国、日本)

米国の遺伝性乳がん卵巣がん専門外来の様子を交えながら、
「がん」に特化した遺伝カウンセリングの受け方について話が進みます。

もし、遺伝的ながん体質が分かった!という場合のフォローについて、
がん検診など、どのような調整をしてもらえるか?

そして、メディアを通じて「遺伝子検査であなたのがんリスクがわかります」といった
簡単な検査では、信頼性のおけるデータかどうか当てにならない・・

現在の遺伝子検査の現況を知る手掛かりを学ぶことができました。

乳がん卵巣がんにかかわる遺伝子(BRCA1、BRCA2)に変異があっても、
がんを発症しないケースがある理由は何か?

また、過去に乳がん卵巣がんにかかわる遺伝子(BRCA1、BRCA2)検査を受けていても
その当時の検査法により判断が変わる場合や、
他の乳がんにかかわる遺伝子(BRCA3、TP53)に変異がみられるケースもあるとのこと。

今後、さらに遺伝子について解明されていくことが分かりました。

「遺伝子カウンセリングとは、手段であってゴールではない。
選択肢として利用できる体制が必要であるということ。」

さまざまな選択の在り方について、考える機会となりました。

教育講演 『がんに効く薬ができるまで ~数々の試練を乗り越えた薬たち~』
特別講演 講師 赤澤 宏平 先生 新潟大学大学院医歯学総合研究科情報科学 統計学分野教授

10,000個以上の薬の候補となった化合物から、やっと1つの医薬品が承認される。
その誕生のプロセスは10~18年・費用は数百~千億以上。

気の遠くなるような話です。

この薬の候補がヒトに投与される臨床試験についての説明と評価方法に
「医学統計」が必須であることや基礎知識の解説、
そして「診療ガイドライン」に記述された根拠:エビデンスレベルとは?
どのようなデータをどのように評価しているか?

試験のデザインやバイアスのかからない薬の有効性・安全性の評価方法について
評価尺度の取り方を知る機会となりました。

色々と定められた適格条件を満たし、臨床試験を受けるチャンスに恵まれ
新薬のデビューに関わることができれば・・と、思いました。

また、臨床試験のエビデンスを読むときの注意点として
「治療効果が得られなかった臨床試験の結果は、学術誌に採用されにくい」
パブリケーションバイアスという真実が広く知られないケースや、
生存率・無再発率・奏効率などはすべて確率であり、
個人の予測を決定づけるツールではないということ。

治療効果ばかりでなく、生活の質にも気を配るようにしましょう!とのお話は、
統計という四角四面なイメージから心和みました。

 

(患者ボランティア:abe)

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